2018年に読んだ本まとめ
2018年に読んだ本まとめ
はじめに
2018年に読んだ本をまとめる。当初は毎月読んだ本についてまとめていこうと思っていたが、速攻でめんどくさくなっており、1月で終わっていた。年末にまとめて感想を書いているが、本は読んだ時に感想とかをまとめておかないと記憶から全部抜け落ちてしまうなというのを感じている。そういうわけでこの記事はざっくりとした感想が多め、あしからず。
1月に読んだ本5冊と合わせて、2018年は合計26冊だった。少ない。多分ゲームのやりすぎだと思う。2019年からは社会人になるが、これからも意識して年間60を目標に読んでいきたいと思う。
以下、本の簡単な要約と感想。画像はアマゾンリンク。
夜と霧 新版
ナチスの強制収容所に収監されていた心理学者の人が、その時の体験や考えたことについて語っている本。書いてあることは悲惨なことなのに、筆者からしてみると「慣れてしまう」らしく、人間の環境適応能力の高さに驚いた。
すでに述べたように、強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的を持たせなければならなかった。被収容者を対象とした心理療法や精神衛生の治療の試みがしたがうべきは、ニーチェの的を射た格言だろう。 「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」 したがって被収容者には、彼らが生きる「なぜ」を、生きる目的を、事あるごとに意識させ、現在のありようの悲惨な「どのように」に、つまり収容所生活のおぞましさに精神的に耐え、抵抗できるようにしてやらねばならない。(p. 128)
肩をすくめるアトラス 第二部 二者択一、第三部 (AはAである)
無能がトラブルを引き起こす→無能が優秀な人たち(主人公側)を批判する→優秀な人たちがなんとかトラブルを解決する→無能が自分の手柄にする→優秀な人たちが消えていく という話を延々と繰り返し、最後には優秀な人たちが自分達だけで生きていける世界に引きこもり、世界が崩壊した後にまた新しい世界の想像が始まるみたいな話の流れ。
言っていることはわからんでもないが、あまりに優秀側を神聖視しすぎているような気がしてちょっと気になった。一方で無能側は大多数の凡人と少数のそれを利用する狡猾な人たちで構成されていて、彼らが本当に酷くて、読んでいてフラストレーションが溜まった。
「あのですね、スタッドラー博士、人びとは考えたいとは思っていないのです。事態が深刻になればなるほど、よけいに頭を使いたがらなくなるのです。だが何らかの本能によって、人は考えなければならないと感じ、それで罪悪感を覚えるわけです。だから何も考えないことを正当化する理由を与えてくれる人間は誰でも祝福し、追随します。おのれの罪であり、弱みであると知っていることを美徳にー高度に知的な美徳にーしてくれる者なら、誰でも」 「それで君はその弱みに付け込むべきだというのか?」 「それが人気を得る道です」(第二部 p. 18)
↑こんな感じで無能側陣営の主張があって、彼らは、無能な人たちは自分では何もできないから、有能な人たちはその有能さを活かして全人類に無償で奉仕をし続けるべきだし、それをやめるなんてとんでもない!という主張をしてくる。これに対し有能側の主張として、
「僕たちは世界が支払うべき代金を要求しなかったし、僕たちの報酬を最悪の者たちにやってしまった。その過ちは何世紀も前に犯された。セバスチアン・ダンコニアによって、ナット・タッガートによって、社会を養いながら謝礼を受け取らなかった全ての人間によって。もう何が正しいかわからないって?ダグニー、これは物資をめぐるたたかいじゃない。これは道徳的危機、世界が瀕した最大で最後の危機なんだ。僕らの時代は悪の世紀の頂点だ。これっきり根絶しなければ、僕らは–僕ら頭脳労働者は滅びる。それは僕ら自身の罪だった。僕らは世界の富を創出した。だが道徳律を敵に書かせてしまったんだ」(第二部 p.464)
↑こんな感じで、これまでは無能側のルールに従って無償で奉仕をしてきたが、これは間違いだった。これからは僕らがルールも作っていくんだという主張をしてどんどん無能側のルールから抜け出し、消えていく。最終的に最後まで無能側のルールに従って頑張っていた有能な人は荒野で野垂れ死ぬし、世界は崩壊するし、有能側のプロパガンダが過ぎてこれをそのまま現実世界で実現すると誰も幸せになれなさそうと思った。まぁただ現実世界で起きていることを小説として示唆している部分もあるなーと思って、この辺世の中どう動いていくんだろうかとか考えるきっかけになった(気がする)
「豊かさ」の誕生(上・下) 成長と発展の文明史 (日経ビジネス人文庫)
これまでの歴史において、どこから「豊かさ」が生まれてきたかという点について分析している本。 主な主張としては、私有財産権、科学的合理主義、効果的な資本主義、効率的な輸送・通信手段の4要素によってできたと述べており、これら四点についてこれまでの歴史から国や地域などの資料をもとに話を展開している。人々が自由に商売や研究を進めていくことで、結果として人類全体が発展していくという主張は面白かった。経済・歴史系の本の中では結構読みやすかった。
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
企業、ここでは主に製品の製造を行う工場について、どうやったらより生産性が上がるかというテーマをもとにした小説スタイルの本。スループットを上げるために、ボトルネックを見つけて、改善していくという話が一番のメインテーマだったと思う。その中で、なぜスループットについて着目するか?といった話や、なぜ個々のステップではなく、全体に着目するか?という話など、色々と面白い話が多かった。
クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
上のザ・ゴールが工場の話だったので、今度はそれをプロジェクトマネジメントに応用してみようという話。こちらもボトルネックとなる制約条件の話や、タイトルにもなっているクリティカルチェーン(そこが遅れると全てが遅れる)についての分析など、ザ・ゴールと似た部分はありつつも根幹となる部分が同じなのでこの考え方はいろいろなことに応用できるよね、という話になっていた。
資本主義が嫌いな人のための経済学
難しかった。資本主義について、論文や学会などで言われている批判(税金とか、社会制度とか)などについて一つ一つ返事をしている本。内容となる経済系の話がかなり難しくて、論文ベースで主張が進んでいくが自分はそのへんのバックボーンが無いのでイマイチピンとこなかった。読んでて辛かった。
ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方
マットレスを一定の手順でひっくり返して全ての面を均等に使うことができるか?とか、ランダムとは何か?とか、名前空間の話とか、NP完全の話とか、 ちょっとした数学のエッセイがいくつか入っている本。大人向けの軽い数学ガールって感じ。割と気楽に読めるわりに面白い話が多くてよかった。
SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか (ハヤカワ文庫 NF 403 〈数理を愉しむ〉シリーズ)
蛍はなぜ一斉に光るのか?というとっつきやすいテーマをもとに、自然界などで見られる同期現象について述べていく本。睡眠リズムの話とか、量子、カオスの話から、人と人でできるネットワークにおける同期の話まで幅広く述べられていた。
ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
動物行動学入門と表紙にあるように、著者が観察していく中で見つけた動物の仕草・習性だったりを、章立てでエッセイ風にまとめている本。主に鳥の話が多くて、鳥の鳴き声に関する考察だったり、読んでいて面白い話が多かった。鳴き声を真似て鳥がよってきたり、大量の動物を自宅で買っていたり、著者自身がかなり面白い人っぽい。
なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)
ラビ(ユダヤ教の教師)である著者のどうにもならない不幸や、不幸に苦しむ人たちと接した経験をもとに、人生とは、苦悩とは、みたいな事柄について著者が考えたことについて述べる本。 何が自分を不幸にするのか、何が自分を苦しめるのか、それは自分が決めることであるというメッセージがよかった。
青年の大成
青年(20代ぐらい?)を対象に、どういう志を持つべきか、どうあるべきかといった主張をしている本。ちょっと説教臭かったかもしれない。あとちょっと古いな・・・と感じたりとか。勉強の習慣とか、意識して日々を生きようとか、少しづつ良い人間になるよう努力しようとか、かなりざっくりだけどそんな感じのことを言っていた。
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
コンサル出身の人が、分析とか提案をするときの物の考え方、書き方について述べている本。一番大きな主張は、構造をピラミッド型にして、論理的に述べるようにしようというところだと思う。なんか読みづらくて、読むのに時間がかかってしまった。この手のやつって結局自分で文章を書く経験を積まないと意味ないなーと読みながら思った。
アイデア大全
古今東西、アイデアの閃き型について集めた本。アイデアに詰まったけれども何か作らなきゃいけない時にリファレンス的に役立ちそう。結構面白かったし良い本。
道は開ける 文庫版
なぜ人は悩んでしまうのか、また悩んでいる人はなぜそうなってしまっているのか、どうすればいいのか、みたいな話について、様々な人の体験談をもとにカーネギーさんがまとめた本。あまり悩みすぎないこと、忙しくしていること、またその一方でよく休むこと、などが挙げられていた。
旅の指さし会話帳17フランス[第二版]
夏休みフランスに一人でふらっといく前に道中の飛行機で読んだ本。これを読んだおかげで、すぐに話せるようになるわけではないが、ある程度指差しで会話ができたり、フレーズだけ覚えて会話したりできたので読んでおいてよかったと思う。
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
世の中には、もらってばかりのテイカーと、与えてばかりのギバーと、貰った分だけ返すマッチャーがいて、この中だと実はギバーになると成功しやすいよ、という主張をしている本。 ただ何でもかんでも与えるのではなく、情けは人の為ならずを意識して、本当に自分が損するだけの時は辞めてもいいんだよみたいなことも言っていた(それって結局マッチャーじゃないの・・・?)。しかし、確かにこれまで振り返ってみてギバーっぽい人には好感を得るし、自分もそういう人間になりたいなーと思ったのでちょっと意識が変わった。
一瞬で大切なことを決める技術 (中経の文庫)
やること、やらないことを決める。何が目的なのか、どうしたいのかを意識する。質問を考える。ということを述べていた。質問するの確かに大事。
自分の小さな「箱」から脱出する方法
家庭や職場での人との付き合い方について、箱という例を用いて解説していく本。かなり面白かったんだけど概念を言葉にするのが難しいので読むことを推奨。箱の中に入っていて、自分を裏切るようなことをすると、最終的になぜか相手を恨んでしまうみたいなことは結構あるあるで、そこで自分の箱の中に入らずに相手を尊重すべき一人の人間として対峙することでスムーズな人間関係が築けますよと述べている。そしてそのためにまずは行動から変えて、話しかけやすいような、箱の外にいる人になりましょうと述べていて、確かになーと思った。
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
アドラー心理学をもとに、対自分を含む対人関係について述べている本。これも要約して文章でちゃんと説明するのが難しい。他人からの承認だったりを求めるのではなく、自分は自分、人は人と割り切って考えることで悩みが解消されると言っていたりしていた。一方で自己中心的になるのではなく、お互いを尊重して、対等であることを意識した上で、自分のやるべきことをやりましょうとも言っていたと思う。世界とは自分の目で見たものであり、自分でしか変えられないんだよみたいな。
最後に
2018年は、数も読めていないし結構雑に読んでしまった本も多かったと思う。あんまり知らない分野の話をいきなり読んでもちんぷんかんぷんで、読書スピードも落ちるしモチベーションも落ちるしよくないなーと思った。いくつか買った技術書とか、Kindleで買った本が積んであったりするので2019年はこの辺も消化したい。
この中で一番面白かったのは、「自分の小さな「箱」から脱出する方法」だった。おすすめ。
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