日立研究所の研究員の方が,加速度センサとかを搭載したウェアルブルセンサを用いて人間・組織・社会についてデータを収集し,その中で得られた知見について述べている本. 全編通してかなり面白かった.

特に目から鱗だったのは,人間の一日の行動を観測すると,どんな人でも統計的にU分布とよばれる分布に沿った動き量の傾向があるということ. これはたぶんいわゆるゲームでいうMPみたいなもので,一日の間の行動に実は許容量みたいなものがあるらしい.そして,それをはみ出すような行動をするとストレスの原因になるんじゃないかみたいな考察をしていた.

あと,あるフロアの全員にセンサを設置して情報を集めることで,コミュニティ内での力関係や, 会話の中で身振り手振りを大きくした方が生産性が上がるという事実が見つかったりしていた.

あと,行動は続けるほど止められなくなるとか,運や偶然というものをセンサデータに射影して(運をコミュニケーションの取り方を射影して)可視化することに成功していたりとか, 積極的に行動を起こすことそれ自体が幸福に繋がっていたりとか.

本の中でえーそうなんだ!と思えることが多くあり,またデータの活用法としても非常に面白く,良い本だった.